残業代請求のための証拠

残業代請求のために役に立つ証拠

残業代の請求は、労働者が会社に対して行うものです。したがって請求する側の労働者が、まず第一に、残業した事実を主張して、その実際の残業時間を必要に応じて証拠により証明する必要があります。加えて、残業代を請求するには、残業代の計算方法や具体的な計算根拠も主張しなければなりません。残業代の計算方法や根拠となる事実は、個々の会社によって異なります。これらのことを考慮すると、残業代の計算に際して証明すべき事実等はおおよそ次のようなものがあげられます。

  1. 毎月の残業代の計算対象となる賃金(基本給だけではなく、職務手当・売上手当・営業手当・歩合給なども残業代の計算の対象となり得ます)
  2. 残業した日ごとの残業時間(深夜時間・休日労働時間)
  3. 会社の年間所定総労働時間(所定休日等から計算します)
  4. 会社の所定労働日
  5. 会社の所定労働時間
  6. 会社の所定休憩時間
  7. 会社の始業・終業時刻
  8. 会社が定める残業手当等の割増率

 

以上の事実を証明する証拠としては次のようなものが考えられます。

  1. タイムカード
  2. パソコンのログ記録
  3. メールの送受信記録
  4. トラックのタコグラフ(チャート紙)
  5. 業務日報(運転日報)
  6. 同僚等の証言
  7. 毎日つけている日記
  8. 給与明細書
  9. 会社の就業規則(賃金規程)
  10. 労働条件通知書
  11. 労働契約書

事実を証明する証拠は可能な限り客観的で信憑性があるものでなければ、証拠力が弱くなります。
タイムカードは、労働時間を証明する証拠としては証拠力は比較的強いと言えます。これに対して日々業務で使用していたパソコンのログ記録は、証拠力という点からは若干弱くなります。同僚等の証言は、労働時間を証明する証拠としてはあまり強くありません。
給与明細書や会社の就業規則、労働条件通知書、労働契約書等は、会社が作成したものまたは会社との合意書類ですので、証拠力は強いと言えます。

 

証拠の取り方

会社にて保管されている物
タイムカードや、業務日報、就業規則などは、コピーを取っておきましょう。
もっとも会社にて保管されている証拠類は、全部をコピーすることは難しいかもしれません。そのような場合は、一部だけでも構いませんので、コピーできるものをできる範囲でコピーしておくようにしておいてください。例えばタイムカードであれば、数ヶ月分のコピーだけであっても、そこから平均の残業時間を計算して、請求する全期間の未払い残業代を推計することができます。この推計を基にひとまず会社に対して残業代の支払いを請求して、会社にて、保管しているタイムカードなどを基に正確な残業代を再計算してもらいます。また、裁判所の労働審判手続を申立てるときや訴訟を提起するときは、会社に対して、タイムカード等証拠の提出を求めることができます。
ただし、タイムカード等は会社で改ざんされる恐れがあります。したがって、例えばタイムカードの数ヶ月分から平均の残業時間を計算するときは、会社に対しては、「手元にある数ヶ月分のタイムカードから平均の残業時間を計算した。」などとして、具体的な年月等を会社に分からないようにしておくとよいでしょう。こうしておくと、会社の方で労働者の手元にあるタイムカードが何円何月分かわからず、改ざんし難くなります。

 

タイムカード等で残業時間を証明できないとき
会社の上司らからサービス残業を強いられているなどで、会社にある証拠では正確な残業時間を証明できないときは、労働者の方で正しい残業時間を証明しなければなりません。このような場合は、なるべく客観的な方法で残業時間を証明できるよう、証拠を作る必要があります。例えば、始業時と終業時に会社のパソコンから労働者自身や知人・友人の携帯電話や自宅のパソコンなどにメールを送信しておくと、その送信履歴を以て大凡の始業時刻と終業時刻を証明できます。
どうしても客観的な証拠を作ることができないときは、日記をつけておくとか、手帳に出退勤時刻をメモしておくなどでも構いませんので、記録をつけておくとよいでしょう。
例えば、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSに「今から出勤」とか「今から会社を出ます」などと投稿しておくと、証拠として利用価値があるかもしれません。

 

証拠保全
残業代支払いの請求を、裁判所の訴訟を起こす方法で行う予定のとき、会社を相手に、事前に、裁判所に対して証拠保全の申立てを行うことができます。証拠保全の申立てを行うと、裁判所が会社を訪れてタイムカードや賃金台帳等の検証を行い、残業代請求に必要な証拠を労働者側で確保することができます。特に労働者の手元にタイムカード等の証拠がなく、かつ会社が証拠類を改ざんする可能性があるときは、早い段階で裁判所に証拠保全の申立てを行っておくとよいでしょう。

 

 
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